プロジェクトマネージャーとプロダクトマネージャーの違い
前回(以下)でも少し触れたが、プロジェクトマネージャーと聞くと、何となく、少なくともプロジェクトに関わったことがある人であれば、その役割について想像できるだろう。ppt-life.hatenablog.jp
PMBOKなどでは、プロジェクトマネージャーの定義について、
Project managers are organized, goal-oriented professionals who use innovation, creativity, and collaboration to lead projects that make an impact.
https://www.pmi.org/about/learn-about-pmi/who-are-project-managers
※ ちなみに私はPMPを持っていますが、PMBOKが聖典とは思っていません。
等と書かれているが、要するに定められたゴール/スコープに対して、必要なことは何でも実施し、その実施のためにフレームワークを活用したり、関連するソフトスキル等のコンピタンスを積極的に活用する人のことをプロジェクトマネージャーと呼ぶのだろう。従って、ちょっと違った見方をすると、プロジェクトマネージャーは、『goal oriented』と書かれている通り、『決まったゴール』に向かって『プロジェクトを回す』人とも言える。
では、この『決まったゴール』というのは誰が定めるのだろうか。時には顧客から提示された仕様書であったり、あなたの上司の指示であったり、上位のシステム要求であったりするだろうが、もっと能動的に価値起点/組織視点でのゴールを策定しようとするのがプロダクトマネージャーである。
プロダクトマネージャーの役割について、例えばMelissa Perriの『プロダクトマネジメント』では、以下のように述べられている。
組織におけるプロダクトマネージャーの本当の役割は、チームと協力して、ビジネスニーズとユーザーの問題解決を同時に満たす適切なプロダクトを作ることです。そのためには、さまざまな帽子をかぶる必要があります。プロダクトマネージャーとして仕事を効率的に進めたいなら、会社のさまざまな側面を理解しなければいけません。マーケットとビジネスの仕組みを理解する必要もあれば、会社のビジョンと目標を本当の意味で理解する必要もあります。また、プロダクトのユーザーを理解するには、ユーザーに対する深い共感も必要です。
当たり前やんけ、と思われる方もいるかもしれないが一方で、プロジェクトマネージャーの役割イメージとはそれなりに異なりそうだ、という感覚を持たれた方も多いのではないかと思う。
上記の通り、プロダクトマネージャーは、『ビジネスニーズとユーザーの問題解決を同時に満たす適切なプロダクトを作ること』をミッションとしており、goal orientedといよりかはどちらかと言うとpurpose orientedな活動を行う。何か決まったゴール(製品スコープ等)に対してアプローチする、というよりかは、ビジネスニーズとユーザーの問題解決を同時に満たすためには何をすべきか?なぜそれが必要なのか?というような、方向性を定める活動に比重を置く。
勿論、プロダクトマネージャーの活動の中には、プロジェクトマネージャーとしての仕事も含まれるのだが、プロダクトマネージャーは定まった方向性に対してプロジェクトを回す、プロダクトマネージャーは、方向性を定める、といった点に大きな違いがあると思う。
プロジェクトマネジメントにプロダクトマネジメントの風味を加える
従って、今あなたが置かれている状況に応じて、今はプロダクトマネジメントが求められているのか、あるいは、プロジェクトマネジメントが求められているのかをはっきりさせ、その前提に応じた取組を実施することが重要だと考える。プロジェクトマネジメントを実施している中で、『この製品(またはサービス等)をこのまま作ってしまってよいのだろうか』、あるいは、『仕様書のこの部分は自社のビジネスに合わない』ということを感じたことがある人も多いと思うが、そういうタイミングでほんのわずかでもプロダクトマネジメント的な活動ができれば、顧客や上司の納得性もあがるし、製品やサービスの横展開のチャンスも生まれる。どちらが偉いという訳ではないが、もし今プロジェクトに携わっているが、プロダクトマネジメントについて余り意識したことが無い、という方がいれば、書籍などで調べてみることをお勧めする。
あなたが経営者だったら
上で述べていることと相反するかもしれないが、プロジェクトマネジメントとプロダクトマネジメントの境界はあるようで無い。あなたが経営者だったら、今会社にとって必要なものがプロダクトマネジメントなのかプロジェクトマネジメントなのか考えながら、部下や部門に仕事を任せると良いだろう。逆に部下や部門が、プロセスやリソースだけでなく、プロジェクトマネジメントやプロダクトマネジメントに関する進めにくさや困りごとを訴えきたら、同じように整理をするチャンスなのかもしれない。
次回以降:以下のあたりのどれかについて書きます
- プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャー
- プロジェクトマネージャーのスキルセット
- プロジェクトマネージャーに対する経営層からの期待
- パワーポイントエンジニアリング
- 私の大失敗プロジェクト
- 最近のプロジェクトマネジメントの流行り
- 機能品質とPOC
- 他に何かあったらコメントで教えてください